履き忘れたもう片方の靴
15年前に文藝賞の佳作になった僕のデビュー作です。
主人公はヒカルという名の19才の美しい男娼。
バブル経済崩壊直後の夜の街で、彼は金持ちの男女に求められるがまま身体を売って生活している。
ある日、そんなヒカルの前に、ヒムロという大金持ちの男が現れる。
ヒムロはヒカルを監禁し、過酷な調教を施す。さらに、男性器を残したままヒカルに豊胸手術を受けさせ、世界一美しい両性具有者(シーメール)にしようと目論む。
ヒカルは何も拒まない。決して自分の意見を言わず、すべてを受け入れる。そして、何も恐れない。
自我がないというわけではない。おそらく、意志を持たないというのが彼の意志なのだ。
「かつて誰も書いたことのないものを書こう」
まだ小説家になる前、そう意気込んでいた僕の前に、突然、出現したのがヒカルという無口な美少年である。
もし、この美しい少年が現れなければ、おそらく「大石圭」という小説家も出現しなかっただろう。
そういう意味でも、僕にとって、非常に愛着のある作品である。同時に、この「履き忘れたもう片方の靴」には、その後に僕が書くことになるすべてのものが凝縮されているように感じる。
読者のみなさま、これが僕の始まりです。
ぜひ、読んでみてください。

