63:睡眠不足
diaryに書いたように、この冬の僕は庭に来る野鳥たちに餌をやり続けている。そして、「お菊」のやつは、餌台に群がる鳥たちを眺め続けている。
そうなのだ。「お菊」は庭に面したカーテンの中に身を潜め、その下から顔だけを少し出し、ほとんど一日中、鳥たちを見つめているのだ。
もちろん、窓ガラスがあるから飛びかかって、鳥たちを捕獲することはできない。
いや、最初の頃、一度だけ、芝生の上を歩いているヤマバトに襲いかかろうとして、ガラスにしたたか顔をぶつけたことはある。だが、バカな「お菊」も学習して、それ以降はガラスにぶつかることはない。ただ、見つめているだけである。
「いったい、何が楽しいのかしら?」
妻は首を傾げている。
だが、「お菊」にとっては、捕獲できるはずもない鳥を見ていることが、ものすごく楽しいらしいのだ。
僕が前の晩に餌を蒔いているので、餌台には夜明けと同時に鳥が群がる。すると、「お菊」は寝室を飛び出し、一目散に窓辺に駆けつける。そして、まだ閉じたままのカーテンの下から、餌台の鳥を見つめている。
夜が来るまで餌台には断続的に鳥たちが来るから、「お菊」も必然的に、夜までずっとカーテンの下から鳥を見つめている。
最近では僕と一緒に玄関や第二玄関に出ることもなく、ただ、ただ、鳥を見つめている。そのあいだ、眠ることはまったくない。
猫という動物には、一日に16時間の睡眠時間が必要だと聞いている。けれど、朝の6時半頃から夕方の5時半頃まで、だいたい11時間を鳥を眺めることに費やしている「お菊」に残された時間は、わずか13時間しかない。
そんなわけで、最近の「お菊」は午後6時に餌を食べたあとはすぐに眠ってしまう。そして、翌朝、鳥たちが来るまで、ただ、ただ、眠り続けるのである。
「睡眠不足の猫は死にやすいっていうわよ」
妻はそう言って心配している。
僕も「お菊」が睡眠不足で死ぬことを危惧している。
相手が子供なら、「いつまでも鳥を眺めていないて、さっさと寝なさい!!」と言うこともできるが、言葉の通じない「お菊」にそんなことを言ってみても始まらない。妻や僕にできることは、「お菊」の睡眠不足を心配することだけなのです。
今回もバカバカしい話で、失礼しました。にゃーお。






