61:外が大好き
前回も書いたように、ここに越して来て「お菊」は信じられないほどにアクティブになった。
平塚の狭いマンションにいた頃の「お菊」は、一日のほとんどの時間を眠って過ごしていた。起きている時も、ただ、ぼんやりとしているだけだった。万歩計を付けているわけではないが、一日の歩数は、たぶん100歩ほどだったのではないだろうか?
だが、ここではそうではない。
最近の「お菊」のやつは、一日のほとんどの時間を、家の中のパトロールに費やしている。眠っているのを見ることはほとんどなくなった、と言ってもいいほどだ。
ここに越して来た頃の「お菊」は、それなりに広い家の中だけで満足しているように見えた(たいして広くないが、以前に比べるとお屋敷のようだ)。
だが、最近の「お菊」は外に出たくてしかたがないらしい。
執筆中、僕は煙草を吸うためにしばしば外に出る。すると、「お菊」のやつはすっ飛んで来て、僕と一緒に外に出る。家のどこにいようと、必ず走って来る。
屋外ではたいてい日向にころがって、ごろごろする(僕が、ではないですよ)。
前の小学校の柿の木に集まって来る野鳥を狙うこともあるし、飛んでいる虫を捕獲することもある。
塀に飛び乗ったり、溝をジャンプで飛び越えたりもする。
散歩している犬が近づいて来ると、「フーッ!!」と言って威嚇する。
道路をどこまでも歩いて行ってしまうこともある(ここは住宅街で、車はほとんど通らないから安全です)。
その姿はまるで別の猫がいるかのようである。
よく食べ、よく動くせいで、最近の「お菊」は筋肉質な体つきになった。触ってみると、それがよくわかる。以前は「たぷたぷ」としていた下腹部も、今では引き締まっている。気のせいか、毛並みもよくなったような気がする。
変わったのは体つきだけではない。最近の「お菊」は頭もよくなったように見える。かつては開けることのできなかった引き戸も、今は簡単に開ける。そして、かつてはあれほど無口だったのに、最近ではいろいろなことを喋る(本当に言葉を喋っているように聞こえます)。
そうなのだ。おそらく、これが「お菊」の本来の姿だったのだ。ここでよく動くせいで、身体も頭も本来のものに戻ったのだ。
あんな狭苦しいマンションに5年以上も閉じ込めていて悪かったなあ。「お菊」よ、甲斐性のないお父さんを許せ。
最近の僕はこんな気持ちである。にゃーお。







