58:お菊様
diaryにも書いたように、妹夫婦が暮らしていた町田市の家に引っ越して来た。
引っ越しにあたっては、いろいろと心配なことはあったが、僕たち夫婦がいちばん心配していたのは「お菊」のことである。
これまでにもしばしば書いたように、我が家の「お菊」はとてつもなく弱いのだ。旅行に同行させると何も食べず、うんこもおしっこもできないのだ。
だが、「お菊」のために引っ越しをやめるわけにはいかない。
僕たちは引っ越しを強行した。
引っ越しの初日。
狭いマンションの部屋しか知らない「お菊」は、案の定、この広大な家にひどく怯えた。そして、1階の玄関の下駄箱の下の狭い隙間に潜り込んだ。
どれほど呼んでも、駄箱の下から「お菊」は出て来なかった。餌の時間になっても、出て来なかった。
しかたなく僕たちは「お菊」を力づくで引っ張りだし、2階の寝室へと連れて行った。
だが、今度は「お菊」のやつは、クロゼットの中に逃げ込んでしまった。
夜になっても餌は食べないし、水も飲まない。うんこもおしっこもしない。
「大丈夫かな? 死なないだろうな」
僕たちは本気で心配した。
もし、このまま飲まず喰わずで「お菊」が死んだら、引っ越しをしたことを僕たちは永久に後悔することになるだろう。
「どうする? 平塚に戻る?」
僕たちはそんな相談までした。
けれど・・・動物というものは、与えられた環境に適応するものなのだ。
2日が過ぎ、3日が過ぎ、4日が過ぎると・・・「お菊」のやつも、少しずつこの家に慣れてきた。そして、餌も食べ、水も飲み、うんこもおしっこも普通にするようになった。さらに5日が過ぎ、6日が過ぎ、1週間が過ぎた頃には、以前のマンションと同じような、くつろいだ様子を見せるようになった。
僕たちは胸を撫で下ろした。
引っ越しから1ヶ月が過ぎた今では・・・この広い家での生活を、「お菊」は僕たち以上に満喫している。
階段を駆け上がり、駆け下り、出窓に飛び乗り、ベランダでトンボを追いかけ、日だまりに寝転がっている。狭いマンションと違って激しく運動をするせいか、食欲も旺盛である。
まったく、「お菊」のやつ。心配させやがって。
追伸。アメリカに渡ったヒカルは、先日、妹夫婦と車に乗り、カナダのナイヤガラの滝に行ったそうです(僕でさえ行ったことがないのに!!)。
カナダのホテルでは、家族3人の宿泊料が合計で160ドルだったのに、ヒカルは1匹で75ドルも取られたようです。
でも、姪にとても可愛がられ、ヒカルは幸せに暮らしております。
ご安心ください。にゃーお。






