47:新しいマット
僕はたいていフローリングの床に座布団を敷いて、そこにあぐらをかいて執筆をしている。
先日、妻が、来るべく冬に備えて新しいマットを買ってくれた。白くて毛足の長い、大きな長四角のマットである。その上に座布団を敷けば、真冬でも床からの寒さをしのげるだろうという心遣いからである。
といっても、まだ秋になったばかりだから、使い始めるのはずっと先のことだ。
それでも、どんな感じになるのだろうと思って、実際にフローリングの上にそのマットを敷いてみた。ほんの一瞬だけ敷いてみて、ほかのインテリアとのバランスを確認したら、すぐに片付けるつもりだった。
すると・・・驚いたことに「お菊」のやつが、どこからともなく駆け寄って来て、買ったばかりのマットの上に「ごろり」と横になったのである。さらに、マット全体に全身を擦りつけるように、マットの上を「すりすり」「ごろごろ」と、イモ虫が這うみたいに転がり始めたのである。
どうやら、そのマットがとてつもなく気に入ったらしかった。
僕は意地悪なので、すぐにマットを撤去してししまおうと思った。だが、妻が「せっかく喜んでるんだから、しばらくこのまま敷いておきましょうよ」と言って、それをとめた。
彼女は僕には厳しいくせに、なぜか「お菊」に対して過保護である。
まあ、いいや。すぐに飽きるだろう。そうしたら撤去してやる。
そう思って僕も放っておくことにした。僕と同じように、「お菊」は飽きやすい性格である。
けれど、そのマットに関しては、いつまでも飽きる気配がない。いつ見ても、「お菊」のやつは、そのマットの上にいるのだ。こうしている今も、そのマットの上にだらしなく転がっているのだ。
「しかたないから、ずっと敷いておきましよう」
妻が言った。
まだマットなんかいらないのになあ。僕は思ったが、反対はしなかった。
おかげで、我が家のリビングダイニングルームは早くも冬バージョンである。ちぇっ。「お菊」のやつ、いい気になりやがって。
最近の我が家はこのように、猫優先なのである。にゃーお。
追伸:今回はスカーフ姿の「お菊」です。さすがアラブ原産の猫。スカーフが似合います。




