24:怪しい関係
「お菊」のやつはずっと妻には懐いていたが、僕には懐いていなかった。
というか・・・どちらかと言えば、僕のことなんか大嫌いみたいに感じられた。
妻が抱くと、ごろごろと喉を鳴らすのに、僕が触るとぴたりとやめる。
妻がパソコンに向かっている時にはキーボードの上を歩き回るのに、僕のパソコンやワープロの周りには寄り付かない。
間違いない。年頃の娘が父親を嫌うように、「お菊」のやつは僕を嫌っていたのである。
まあ、いいや。猫になんか好かれなくたって、かまわないや。
僕もそう思っていた。
ところが、最近の「お菊」はちょっと様子が違うのである。
毎朝、眠っている僕の顔をなめて起こし、餌をねだる。
朝食のあとは、眠り続けている僕の布団の上に乗り、僕の足のあいだの窪みにうずくまって眠る。
昼間も僕のそばにいつもいて、僕が立ち上がるたびに遊んでくれとせがむ。
外から帰宅すると、僕の足にまとわりつく。
僕が床に座って仕事をしていると、その膝に乗って来て、そこで眠ろうとする。
そんなふうに懐かれると僕も嬉しくて、ついつい「お菊」を抱いたり、撫でたりする。
つまり、いちゃいちゃしているのである。
そんな僕と「お菊」を見た妻が言った。
「何だか、怪しい関係」
そうなのである。いつの間にか、僕と「お菊」は、まるで愛人関係のような、人目を忍ぶ「怪しい関係」になってしまったのだ。
さて、こうしている今も、「お菊」は僕の足元にうずくまり、僕の足を噛んだりなめたりしている。
別に隠す必要もないのだが、僕は妻の目を忍んで、こっそりと「お菊」の顎の下を撫でたりしているのである。
ああっ、猫って、なんて可愛いんだろう!! にゃーお。
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