15:縦長になる
ふたりが連れて来たのは、まもなく3才になるフレンチブルドッグのオス(未去勢)である。
さて、「お菊」の反応は?
僕たち夫婦は少し意地悪な気分で楽しみにしていた。
彼らが来る直前まで、「お菊」のやつは椅子の上で、エアコンの暖かな風に吹かれながら、いつものようにのんびりとしていた(「お菊」は1日のほとんどを、のんびりと過ごしている)。
だが、玄関のドアが開き、フレブルの荒々しい息遣いが聞こえるやいなや、「お菊」は椅子から飛び下りた。
だが、なぜか、いつものようにソファの下には逃げ込まず、浴室に向かった。相手がソファの下に潜り込んで来る可能性を察したのかもしれない。
フレブルが興奮して家の中に駆け込んで来る(この犬は凶暴ではなく、とても友好的ないいやつである)。
「お菊」の姿を発見して駆け寄る。
コーナーに追い詰められた「お菊」は逃げるのをやめ、近づきつつあるフレブルと向き合った。そして、次の瞬間、全身の毛を逆立て、信じられないほど縦長の姿に変身したのである。
「フ−!!」
フレブルは明らかにひるみ、立ち止まった。そしてそのまま、くるりと向きを変えて「お菊」から離れて行った。
「お菊」の勝ちである。僕たち夫婦は、ひ弱な「お菊」を少しだけ見直した。
ところで、その後、フレブルはしばらく我が家にいた。妻も僕も犬好きなのだが、フレブルのやかましさには少し閉口してしまった。なつっこくて、可愛い犬なのだが、餌をくれくれといじましいし、興奮して鼻水を飛ばすし、家の中に毛が散るし、おならばかりしていてとても臭い。おまけに重たくて力も強いから、相手をするのも大変だ。
フレブルが帰ったあとには心からほっとした。
うーん。いつの間にか、妻ばかりではなく僕までもが「犬派」から「猫派」に転向してしまったのかもしれない。
ところで、今回の写真は携帯で撮影したものです。
にゃーお!!







