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60秒の煉獄 新作

光文社文庫

60秒の煉獄

僕の初めての連作短編集です。
木下祐一は50歳。人生に疲れ切った、ただのサラリーマンだ。
彼には夢もなかったし、希望もなかった。生きていて楽しいと感じることもなかった。
そんな木下の前に、ある夜、不思議なファッションをした美少女が突如として現れる。少女は木下に「人生に一度、好きな時に、60秒だけ時間を止める力」を与えてくれると言う。
「そんなバカな」
木下は鼻先で笑い飛ばす。
そんな木下の前で、少女は実際に世界の時間を60秒にわたって止めてみせる。
「今からその力は木下さんのものです。世界が止まっている60秒のあいだ、木下さんはどんなことでもできます。さあ、この魔法の力を木下さんはどんなふうに使いますか?」
そう言って、人形のように無機質に微笑むと、驚いている木下を残し、少女はどこへともなく姿を消してしまう。
木下は自分の両手を見つめる。そして、胸を高鳴らせながら、その特別な60秒をどんなことに使おうかと考える……。

自分が望む時に時に60秒だけ時間を止める魔法の力------。
そんな力を手にした人々を主人公にした11話の短編連作集です。
自分にはもう欲しいものなどないと考えている主婦と、4年のあいだ自室に引きこもり続けている青年。
仕事を解雇され、自暴自棄になっている35歳の孤独な男。
最愛の妻を、今まさに失おうとしている男。
離婚し、裁判に負け、実の娘に会うことさえ許されていない女。
善良な仮面の下に邪な顔を隠した高校教師。
ふとしたことから自分の赤ん坊を絞め殺してしまった女。
不治の病に冒されて、今まさに死を迎えようとしている男。
難事件に挑む若い刑事。
人々から善良だと思われている老人。
彼らはその特別な力を、いつ、何のために使おうとするのか?
みなさま、ぜひ、読んでみてください。

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