15
夜中に目を覚ますと、隣で妻が声を殺して泣いていた。
なぜ?
いや、理由はわかっている。
妻が泣く理由はひとつしかない。
次の瞬間、僕の目にも涙が滲んだ。
そう。今は7月なのだ。そして、去年の7月28日の晩に我が家の愛犬、ピーナッツが・・・僕たちの息子が、死んだのだ。
ピーナッツが死んで、まもなく1年。
僕たちはいまだに立ち直れない。
いや、少し前までは、もう立ち直れたと思っていた。
けれど、この季節が来ると、何かにつけてピーナッツを思い出してしまう。
ああっ、こういう暑い日にはピーナッツは風通しのいい玄関のたたきに寝転んでいたな。
夫婦で出かける時はピーナッツのためにエアコンをつけっぱなしにしていたな。
飲み水に氷を浮かべてやると喜んで、いつまでも飲んでいたな。
アイスクリームが好きだったな。
散歩に行くたびにノミがついて、毎日のようにシャンプーしたな。
去年の今ごろは夜中にいつも発作に見舞われて、それで僕たちはいつも睡眠不足だったな。
最後の日の朝も、前の公園に散歩に行ったな。
最後に抱いた時はぐったりしていたけれど、これが最後になるとは思わなかったな・・・。
思い出が次々と込み上げて来て、もう何をすることもできなくなってしまう。
7月10日に出た「復讐執行人」の中で、僕は愛する娘たちを失った男を描いた。あの男は自分を石に変えることで、その壮絶な悲しみに立ち向かおうとした。石になってしまえば、もう悲しまなくていいから。
けれど、現実にはなかなかそうはいかない。
読者のみなさま、こういう悲しみから立ち直る方法を知っていたら、ぜひ、教えて下さい。
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