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10年ほど乗っていたイギリス・ブロンプトン社製の自転車が壊れてしまった。
壊れてしまったモノは買い替えずに修理して使う。
別にポリシーというわけではない。ただ、「買い替えたほうが安いですよ」と言われると、つい反撥してしまうのだ。
前にも書いたように、僕は天の邪鬼な性格である。先日、15年近く使った電子レンジが壊れた時も、新品を買うより高いお金を払って修理した。修理に来た人が「直すより買ったほうが安いですよ」と言ったことに反撥したのだ。
ブロンプトンの自転車を買ったのは池袋の東急ハンズだったので、修理のために藤沢の東急ハンズに持ち込んだ。ところが・・・。
東急ハンズの自転車売り場の店員の人の話によると、ブロンプトンの自転車はもうかなり前から輸入を中止しているらしかった。修理のための部品も入手困難のようだった。それでも店員の男の人は、「何とか部品を探してみます」と言ってくれた。その対応に僕は感動して帰宅した。
それからしばらくして、その店員の人から電話が来た。
「いろいろと当たってるんですが、やはり部品は手に入らないかもしれません。でも、もう少し頑張って探してみますので、お時間をください」とのことだった。
店員の人が頑張ってくれるのが嬉しかったが、同時に、もし直ったとしても莫大な修理代を取られるだろうな、とも考えていた。
天の邪鬼ではあるが、僕はケチでもある。
修理を依頼してから3週間近くが過ぎたつい先日、またその人から電話が来た。
「やはり修理はできませんでした。申し訳ありません。けれど、新品の代替え品が手に入りました。色も同じ赤です。これでいかがでしょうか?」
新品の代替え品? つまり諦めて新品を買えということだろうか?
「あの・・・おいくらなんですか?」
僕は恐る恐るきいてみた。すると、「代金は結構です」と言うではないか!!
「あの・・・タダといことですか?」
「はい。そうです」
これには驚いた。
何でも、プロンプトンを輸入していた会社の人が自分が乗っていたものを無償で提供してくれたらしかった。
翌日、僕は喜んで藤沢の東急ハンズに行った。そして、僕より若い男の店員に何度も頭を下げてから、ピカピカの新しい自転車を無料で受け取った。
これが最近、僕がいちばん感激した出来事である。
ちなみに僕は東急ハンズのまわし者ではありません。念のため。

